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「art for all みんなのアート 22 安西水丸」展

2022.11.12 Fri - 11.20 Sun 11:30-18:30 会期中無休・無料|Open Daily / Free admission
「art for all みんなのアート 22 安西水丸」展

編集者・岡本 仁キュレーションによる
イラストレーター・安西 水丸の世界

Message|
安西水丸さんとは、ぼくが『リラックス』という雑誌の編集長を務めていたときに、一度だけお仕事をお願いしている。2003年の鎌倉特集だった。ぼくはこのころ、鎌倉に住んでいた。週末になると観光客があふれ、どこにも行列が出来ている様子を遠目にながめながら、その人混みから逃れるために大船や逗子に避難するのが常だった。そんな気持ちが表紙に表れている。曰く「観光地に住む人々の憂鬱と知恵」。
 一緒に仕事をしたように書いてしまったが、動いてくれたのは編集部員だ。だから、ぼくはこのときに水丸さんにお会いしてはいないはずだ。ところで、ぼくは水丸さんにお会いしたことがあっただろうか。この鎌倉特集から何年かして、勤めていた出版社の裏口を出たところで「岡本さん」と声をかけられた。声がしたほうを見ると、そこに水丸さんがにこやかな顔で立っていた。ということは、ぼくが誰かは知ってもらえていたということだが、ではどこでお会いしたのだろう。パレットクラブ?
 鎌倉特集のために描いていただいたイラストレーションが返却されていないという電話をいただいたことがあって、それから何年か過ぎて、裏口でお会いした水丸さんは「ぼくの勘違いでした。お詫びに今度、食事でもしましょう」と言った。結局、その誘いは実現しなかったので、このときが水丸さんにお会いした最後になる。
 さて、鎌倉特集の話に戻ろう。いただいたイラストレーションには「Kの平和と襲われる都市」というタイトルがつけられていた(ちなみにこの作品は2006年に「東京タワー」というタイトルに改題されたか、もしくは新たに描き直されたかされたようである)。ぼくは出来上がった鎌倉特集を見るまで、水丸さんが鎌倉にもアトリエを持たれたことを知らなかった。水丸さんが誌面で紹介してくれたお店も、存在は知っているが入ったことのないところばかりだったので、鎌倉で偶然に会うということはなかったのだろう。その後も、バッタリ会うこともなく、ぼくはそれから数年して、鎌倉から東京に住まいを移した。
 さて、今回の展覧会は「art for all」と題した。これはかつて『リラックス』で連載していたアート・ページのタイトルである。読者が若かったので、いわゆるストリート系のアーティストを紹介することが多かった。でも、それこそ水丸さんの作品が好きな人に、年齢的な偏りがあるとは思えない。だから今回、ぼくはこのタイトルを使い、ぼくが好きな水丸さんの作品を選んで展示することにした。「22」という数字は、ぼくにだけ意味がある通し番号である。
文・岡本 仁

Profile|

安西水丸(1942-2014)
あんざい・みずまる/東京生まれ。
本名・渡辺昇。イラストレーター。日本大学芸術学部美術学科造形コース卒業。電通、ADAC(ニューヨークのデザインスタジオ)、平凡社でアートディレクターを務めた後、フリーのイラストレーターに。広告、雑誌の表紙や挿絵、書籍の装画ほかで活躍のかたわら、小説、エッセイ、漫画、絵本などの自著も多く手掛け、今なお高い人気を博している。朝日広告賞、毎日広告賞、1987年日本グラフィック展年間作家優秀賞、1988年キネマ旬報読者賞など受賞多数。

岡本仁
おかもと・ひとし/1954年北海道生まれ。
編集者。ランドスケーププロダクツの「カタチのないもの担当」としてコンセプトメイクやブランディングなどを手がける。著書に『今日の買い物』(共著)、『また旅。』など多数。
Instagram:@manincafe

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